留置場も拘置所もとにかく寝るのが辛い。あと、就寝時間がとても長いので眠れないと要らぬことを何度思い巡らせなければならないので、精神的に参ってしまう。
僕は今、日中の肉体労働作業が影響してか、眠りが浅く夜中に起きてしまったので拘留中の睡眠環境について紹介してみようと思う。
めちゃくちゃ長い。シャバでは6時間睡眠でも長い方であったが、夜9時就寝の朝6時30分起床。大人が9時間半睡眠では長過ぎる。起きてもいけない、長く寝られない。20代の若者はよく眠れるものもいたようだったが、40を超えると浅く短い質の悪い睡眠習慣になるので夜長が堪える。
せめて、手元の明かりと読書を認めてくれれば睡眠導入剤も要らず、ぐっすり眠れたのに。
9時の就寝時間前に点呼がある。留置署の話になるが、新宿署は16房に60に前後の被留置人がいた。どうやら全国的にも収容数の多い方らしい。10分ほどかけて全員の点呼が終わると減灯(消灯)し、「おやすみ」や「愛してるよ」などの掛け声合戦がしばらく続く。これは、新しくできた仲間同士の絆の確認で行なっているようだ。
一方拘置所(独居)は9時前に淡白な点検(点呼)作業がある。50部屋前後を一部屋ずつ拘置職員が回るのだが、拘置所は100mほどの通路に部屋が向かい合わせになっており、僕の10室(10番目の部屋)から数十メートル向こうまで行って折り返して点検の声が戻ってくるまで5,6分ほど掛かっていたと思う。全体の点検が終わるまでは通路側に設けられた小窓に向かってじっとしてなければならない。
拘置所では、赤落ち(刑務所に行くこと)予定の者と執行猶予で出られる者では過ごし方の制限に違いがある。僕は後者だったので、本当はダメだが寝る前に本を読むことができた。また、6時30分の起床時間より1時間は早く起きていたので本を読んだり勉強したりしていた。もし前者であれば、目が覚めていても本など読めず布団の中でじっとしていなければいけない。
留置場も拘置所も寝具が貧弱だ。特に敷布団が薄くて背中が痛い。毎日、フカフカのベッドが恋しくなってしまった。ペラペラ布団だと背中が痛くて夜中に何度も寝返りを打つ必要がある。眠りが浅くて真夜中に目が覚めてしまうとそのまま物思いに耽りながら朝を迎えてしまう。
留置場で精神的にキツくて眠れなかった。とても辛い。まず、敷布団。幅70cmでとても薄い敷布団と毛布2枚が支給される。敷布団の下に毛布を折り曲げて少しでも布団をフカフカにしてみる。それでも床の感触がわかり背中も痛いのだが、毛布を追加するのとしないのでは大きく違う。そして、70cmだと寝返りが打てない。体の横幅よりもう少し広いくらいなので寝返りを打つのに全身を布団の中心線を意識しながら行なっていた。5人部屋だと隣まで50cmくらいのスペースがあるが、横向きになると相手の顔が近い。これはもう慣れるしかない。
寝るのもれっきとした拷問だと思う。ただし、元々定住していないものもいたので、布団で寝られるだけでもとても幸せそうな人もいた。歯を失いながらも笑顔で「久々によく眠れた」と言っていたのできっと・・・外で寝ていた人だったんだろう。
あと、外国人など身長が180cmを超えるものは布団の足元からくるぶしがはみ出していたりしていた。まともな寝具は与えられないらしい。
留置場の寝具も食事と同じで、東京神奈川とそれ以外の県では内容が相当違うようだ。例えば山梨では十分フカフカの敷布団と掛け布団が支給されるらしい。寒いのでしょうがないだろうが、同じ留置でも基準は違うのだなぁと思った。東京都はお金だけは余っているはずなのに・・・。
拘置所はゆったりのシングルサイズの幅はあった。ペラペラだけど。留置場から比べると寝返りも打ちやすいのでまだマシとは言えるだろう。
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=lvgdKjbGXoc
This is the same type of my room! この部屋、僕のいた部屋と同じだ!
ホリエモンのゼロでは拘置所の独居房で一人泣いていたと書かれていた。同じような部屋で同じような布団で寝ていた彼もきっと寝苦しい夜が続いていただろう。
睡眠導入剤やその類を眠剤(みんざい)と呼んでいた。僕は、マイスリー2錠とサイレース1錠を服用していた。精神科の医者がそれを勧めていたからだ。